vendredi 3 avril 2020

From Paris With Love




#1

まあ聞いてくれ。

にわかには信じ難い事なのだけれど、日本やアメリカでは人命と経済をはかりにかける議論がある、という記事を読んだ。少なくともフランスでそんな議論は聞いたことがない。当たり前だ。人命より大切なものが他にあったら教えてほしい。
大統領が確かにはっきりと、今この国は戦時下にあるから家から出るなと言ったんだ。

もう二週間以上こうして家でおとなしく暮らしているけど何一つ不自由は感じない…… スーパーでは小麦粉とドライイーストが品薄なくらいで(毎日パン屋に行くリスクを減らすためにパンを家で焼く人続出!)、むしろ厳しく入場制限された店内はいつも空いていて買物しやすい。
同じように行動が制限される機会、例えばここ最近の交通機関の無期限ストライキの方が、生活上のストレスは高かった。断言するけど、今の暮らしの方が明らかに精神的に落ち着いた生活を送っている。なんだろう、この安心感は?

そう、久しぶりにベルリンの帆さんと連絡を取り合って、2年ぶりくらいかな?といっても別にお互いの状況は大して変わらないのはわかっているから、どうしても話題は故国の惨状になってしまう……






#2

だいぶ前の話になるのだけれど家族が緊急で病院の世話になる機会があって、その時点で、申請してからもう随分待つのに保険証がまだ届いていなかった。
保険証無しで緊急入院するというのはまあ中々心臓に悪い(笑)。

で、だ。当然病院で事情を説明するわけだけれど、さして驚かれるでもなく、まずこちらの心配を宥めるように一言、

 「現時点で治療費の請求はありません。病院ではまず誰もが等しく治療が受けられます。ここはフランスだから。」

と。

で、病院内に社会保険担当の課があるから、そこに行ってマダム×××を訪ねるようにと。
早速その足で向かうも本日はお休み。。。アシスタントの方に用件を伝えると、ここでもまったく同じことを言われる。

「今はお金の心配はしなくていいから。」

日を改めてその担当の方を再訪、かくかくしかじか話すと、早速その場で社会保険庁にメールを送ってくれて、数日後には仮登録番号が送られてきた。保険証は結局その後2ヶ月くらいかかって届いたのだけれど、仮登録番号さえあれば同じこと。
この担当のマダム×××さんが、これは本当にもう何というか、深い経験を持つ人間特有のおおらかさというか……
彼女曰く、

「あなたたちよりもっと酷い状況でここにやってくる人もたくさんいます。ビザも滞在証もパスポートさえ持たない人もそれでもまずは治療は誰でも等しく受けられます。私は警察とイミグレーションとは関わりはありません。先日なんか英語も仏語も話さないチベットの方が来て。」

後日、病院から治療費やら入院費やらの請求書が送られてきた。新大久保あたりの楽器屋でミントコンディションの Selmer Mark VI が買えるくらいの金額に一瞬怯むも、よく読めば、社会保険番号を送ればこの請求額は免除と書いてあるじゃないか。


例えばアメリカに住んでいたら、お金が無ければそもそも救急車に乗れないし、病院にも行けない。
不法滞在の外国人が日本の病院に緊急入院した場合のその後は先が知れてる。





#3

しかしまああれだ、ブラジルの大統領は「人間誰でも死ぬ時は死ぬ」と言って相変わらずだし、ベラルーシの大統領は「ウオッカとサウナがあれば大丈夫」と言っている。。。
北朝鮮では感染者ゼロらしいし(笑)、楽観的だった某イギリスの首相は本人が絶賛隔離中。アメリカの大統領は確か全ては民主党のフェイクニュースで騒ぎ過ぎだと言って憚らなかったが、時既に遅し。日本ではほんの先週くらいまで新学期から学校再開、オリンピックは予定通り開催っ言ってなかったか?


誰が何を信じるかは個人の自由だから、自分は自分の信じる国で暮らす事にした。もう15年も前、確かシラクの最後の任期の年だった。

真面目な話を長く書きすぎたけど、結局のところ、今朝は Skatalites  ‘From Paris With Love’ がもう本当に最高で、今ラジオから聞こえてくる Christian McBride もゴキゲンだし、昼に食べた挽肉と茄子のカレーも旨かった…… 
こんなどうでもいい事を書いているこの瞬間にも最前線で24時間戦っている方々のおかげで、国境が封鎖されようが交通機関が全く動いていなくても、当たり前の自由はいつもそこにある。
あ、今流れてきた Benny Golson のソロも半端じゃないです。



風呂入って寝ます。







猫ちゃんも待機中!








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